2012年5月10日木曜日

チョムスキー再考

『アバラット』『同2』の後に読んだのがこれ。
チョムスキーは、言語学で生成文法理論の創始者にあたる人です。

大学生の頃(って、もう四半世紀も前のことじゃん)、全然専門外なのだけど言語学とか文化人類学に興味があって、その手の講義もいくつか受講してました。
その尻尾を引きずって、買ってしまったのがこの雑誌。

といっても言語学の専門誌とかではないです。
各号ごとに特集が組まれていて、その分野もいろいろみたい。
巻末のバックナンバー一覧には、「スポーツは病気?」「立派なペットになりたい!?」「去勢の歴史」なんて特集名が見られます(どんな内容だったのかなー…)。
そしてこの号(1998年8月号)の特集が「チョムスキー再考」なのでした。
いま2012年ですから、もう14年も前の号ですね…買ったきりで全然読んでいなかったという年代物でございます(笑)。



自分が学生の頃に聞いた講義では、生成文法理論ってこんな↓感じでした。
・人間の言語の習得方法は、最初に学ぶ言語と二番目以降に学ぶ言語では異なる
・二番目以降の言語を、母語を学ぶ時のように身につけることはできない
・人間が真に言語を身につけられるのは、最初の言語ただ一つだけである
細かいことは忘れました(-_-;。
でもニュアンスとしてはこうだったはず。
この雑誌読むまでず~…っとそう思ってました。

でもどうやら違っていたみたい。



他の動物には見られない、ヒトだけが持つ言語という能力。
その能力は遺伝子によって、親から子に伝えられるものである。
遺伝子が子どもの脳の各部分に特定の言語機能を割り振ることで、適切な刺激を「言語」として認識・使用できるようになるのである。

基本の理論はこんな感じ。
言語の習得は、学習によるわけではない、ということです。

判りにくいかもしれないのでたとえ話。
「ものを見る」という機能ですが、これは人に教わって出来るようになるわけではありません。
脳の中には予め、映像を解釈するための領域が用意されています。
乳児が目を開けて映像が入り始めると、その領域が活動を始め、多少の調整を経て「ものが見える」状態に移行します。

言語もそれと同じね。
言語を扱う機能は予め脳の中に用意されていて、接する言語との間で調整が行われて「言葉が使える」状態に移行する…そういうこと。
乳幼児を日本語環境に置けばそれに合わせた調整がされて日本語が使えるようになるし、英語環境に置けばまたそれに合わせた調整がされて英語が使えるようになるということです。
「教わる」「真似する」というのは補助的なものであり、主たる部分は遺伝子によって既に脳に組み込まれているのです。



なお、調整が働く期間は限られています。
視覚についてもそうですし、言語機能についてもそう。
だから最初に身につく言語と、二番目以降の言語では、習得の仕方は自ずから異なるという話になるのでした(自分が学生の時に聞いてずっと覚えていたのはこの部分だったようです)。



読んでいて他にも色々へぇぇ…と思ったことはあるのだけれど、この雑誌自体が14年も前のものだから、今はまたもっと研究が進んでいるかもしれません。
それにこの話題、自分はこの一冊しか読んでいないので、生成文法に関する理解が根本的に違っているかもしれないです。
興味を持った人は自分でちゃんと本読んでみてくださいね〜。

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