2012年5月14日月曜日

『幽霊塔』読了



これは…実に素晴らしい。
次から次へとページをめくらされてしまう、とても魅力的な冒険活劇。
この感覚は、以前『ゼンダ城の虜』を読んだ時に覚えたものに似ています。

お話なのだけど、
つくり話なのだけど、
架空の出来事・舞台・人物なのだけど、
それでもやっぱりどきどきわくわくして、
先を知りたくてたまらなくなる。

こんな風に力に溢れた話を読むのは、他に比べることのできない愉悦です。



読み終わっての印象ですが。

ちょっと変な表現ですけれど、
「昔の(100〜150年前くらいの)健康・健全なる若い男性が、洋の東西を問わずこぞって好みそうなお話」だと思いました。

おそらくその原因は、主人公:丸部道九郎の人物造形・人物描写にあるのでしょう。
心の動きがとても素直で純で、読んでいてちょっと気恥ずかしくなりそうなくらいです。
でもそこがものすごく、明治・大正・昭和初期あたりの健康・健全なる若い男性っぽいと思うのです(偏見かな?)。
そしてそれを読んでいる男性読者も、小説の中の出来事に素直に純に反応し、心や感情を目一杯動かしながら読んでいたんじゃないかなぁ…主人公:丸部道九郎と同じようにね。
そうだったらいいな、と。

ちなみに元は新聞に連載された小説とのことですから、実際には老若男女、様々な人が読んでいたのでしょう。
そして毎回「続く」の文字にヤキモキさせられていたと思います。
「新聞なんか、女子供の見るものではない」なんて言われている家で、女学生がこっそり読んでドキドキしてたりとか…。
そんな想像も、また楽しからずや(^^)。



今日ネットで見て判ったのですが、この『幽霊塔』を元にしたマンガが連載中なんですね。
タイトルは『幽霊塔』ならぬ『幽麗塔』。
単行本は現在2冊目まで出てるようです。
読んでみようかなー。

あと、自分が読んだのは紙媒体の本ではなく、電子テキストの青空文庫版です。
普段はジムで運動しながらの10分くらいの短い時間の区切りでしか読まないのですが、最後の大団円というか謎解きというか全ての決着というか…そこだけは「今日はここまで」なんてお終いにできず、ジムから出た後も外で夕飯食べながら、結末まで読破してしまいました。
昨日スープカレー食べたのはそういう訳だったのでした(本当にやけ食いじゃなかったのですよ!(笑))。
『幽霊塔』は自分にとって、そのくらい後を引く、魅力的な話だったのです(^^)。

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